あなたは、売上や客数などの成果に伸び悩むとき、まずどこから手をつけていますか?
問題が起きれば、それに対処しますよね。
このとき、何から手をつけるべきか、そのために必要な考え方が大きく2つあります。
1つは以前にもご紹介した、「本当の問題を明確にしてから、解決策を考える」という考え方です。
以前は、トヨタ式の「なぜ?」を繰り返す方法で、問題の真の原因を見つける大切さを説明しましたね。
でも、問題解決、特にプロセスにおける問題を解決するときに、欠かせない考え方があるんです。
それが、悠香の仕事のルールの第19条になっています。
第19条
TOC(制約条件理論)で考える
あなたはTOC(Theory of Constraints=制約条件理論)という言葉を聞いたことはありますか?
これは、簡単にいうと、「ボトルネックを解消するのが最大の成果を出すカギ」という考え方です。
砂時計をイメージしてみてください。
1秒間に落ちる砂の量って、どこで決まっていると思いますか?
きっとすぐに分かるかと思いますが、砂時計の「くびれ」の部分ですね。
ここが、砂が通る量がもっとも少ない、ボトルネックなんです。
すべての砂が下に落ちるまでにかかる量は、このくびれの大きさにかかっています。
だから、もっと早く砂を下に運びたいと思えば、単純にこのくびれのサイズを大きくすればいいですよね。
このときの、砂を下に運ぶ速さが成果で、くびれがTOCなんです。
では、もっと実務的に見ていきましょう。
あなたの会社がケーキ屋さんだったとしましょう。
ケーキ屋さんには、こんなプロセスがあります。
A:生地を混ぜる
B:生地を焼く
C:焼けた生地をデコレーションする
D:できたケーキを切る
E:ケーキを売る
そして、それぞれのプロセスは、次のような生産性で動いているとしましょう。
A:1時間に3個
B:1時間に4個
C:1時間に3個
D:1時間に5個
E:1時間に1個
さて、あなたがこのケーキ屋さんの経営をしていたとしたら、成果を最大化するためにどこを改善しますか?
素直に考えれば、Eの販売部門を改善しませんか?
そうです。
それでいいんです。
このケーキ屋さんでは、1時間あたりにケーキ1個分しか売ることができません。
この1個という数字を決めているのが、Eの販売部門だからです。
A~Dの工程では、1時間あたりにケーキが3個、売れる状態に仕上がっているはずです。
なのに、1時間に1個しか売れないのは、1時間に1個分しか販売能力がないからなんです。
そうであれば、販売員を増やしたり、オペレーション力を上げるなどして、販売力を1時間に2個や3個まで引き上げれば、売上は当然に伸びます。
あなたの会社のプロセスのTOCは?
先ほどの例は製造ラインの話でしたが、何もプロセスは製造だけではありません。
まずは、あなたの会社にどんなプロセスがあるか、書き出してみてください。
そして、そのプロセスの中のどこにTOCがあるか見つけてみましょう。
また、実はプロセスだけにTOCがあるとも限りません。
たとえば、売上であれば、「客数×客単価×購入頻度」で決まります。
この場合も、この中でボトルネックとなるTOCを見つけて改善することで、売上を大きく伸ばすことができます。
ぜひ、問題を解決するときには、TOCの視点で考えてみてくださいね。
あなたの会社のTOCは何ですか?